Designing Nature: TSURU

Jan. 2016 琳派400年記念 新鋭選抜展 /京都文化博物館
 鶴下絵三十六歌仙和歌巻の全巻を初めて目にしたとき「映像」という言葉が頭に浮かんだ。リズミカルに描かれた鶴の群れを注意深く観察すると、そこに今日の映像制作で使われている表現手法を発見することができる。例えば、夜明けから夕暮れまでの時間の経過を表すような鶴の描写の変化、首や翼の動きを強調するアニメーションの技法、いくつかのシーンの編集など。また、琳派の特徴的な技法である「たらしこみ」における金銀泥の濃淡からも時間の表現を感じ取ることができる。

 400年前の京都に、二次元的絵画から三次元的遠近法をとびこえて空間と時間の表現を創造した芸術家が存在した。鶴鳴き海を渡るドラマを俵屋宗達から贈られた絵コンテ、あるいは楽譜と見立てて再生するとどうなるだろうか。
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